1. アジア各国の乳幼児急性胃腸炎患者検体について病因ウイルスの分子疫学を行った。バングラデシュ・ダッカ(2004-2005年:総検体数:917)のA群ロタウイルス(RVA)はG2が最も多く(43.3%)、P遺伝子型はP[8](53.2%)、P[4](42.9%)であった。2006-2007年の日本(総検体数:628)ではRVA(20.1%)、NoV(15.8%)が多く、RVAの遺伝子型ではGIP[8]が最も多かった。NoVではGII/4が91%であった。2007-2008年(総検体数:427)ではRVA(20.5%)、NoV(18.5%)が多かった。RVAの遺伝子型ではGIP[8]が多く(57%)、NoVはGII/4の2006b類似株が多かった。サポウイルスに組換え株が見られた。タイ・チェンマイにおいてRVAの稀な株(G3P[10])を検出し、遺伝子解析を行った。C群ロタウイルスを初めて検出した。 2. 2007-2008年の日本の検体から、ヒトパレコウイルスヒトボカウイルスの検出を行い、各々8.1%、1.6%検出された。アイチウイルスのカプシド領域で遺伝子型の分類を行った。 3. イムノクロマト法による糞便検体からのNoV迅速・検出キットを作成し、その評価を日本の近年(2007-2008年)の検体を用いて行った。RT-PCR法を基準として感度(75.4%)、特異度(100%)、一致率(80%)であった。陽性株はGII/4 2006b clusterに属する近年の流行株であった。 4. タイ・チェンマイ近郊の農場でブタの血清を採取し、抗E型肝炎ウイルスIgG抗体価の測定を行った。8週齢以下では2%、12週齢以下では11%、16週齢以下では25%、20週齢以下では80%が陽性であった。農場間では陽性率に相違は見られなかった。
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