研究概要 |
平成19年度の研究内容は、(1)多国籍企業におけるHIV/AIDS対策に関する知見のとりまとめと、(2)タイの調査地における実態把握及び初期介入である。(1)に関しては、Medline, Web of Science, EMBASEなど主要な文献データベースを用いてシステマティック・レビューを行った。(2)に関しては、平成20年3月3日から3月15日まで、タイの調査地において、インタビュー調査、アンケート調査、フォーカス・グループ・インタビューを実施し、モデル企業二社とその他企業二社において初期介入の方法に関する話し合いを行った。その結果、システマティック・レビューでは、日系企業のHIV/AIDS対策が他の多国籍企業に比べて進んでいないこと、日系企業においてHIV/AIDS対策を推進するために、安全衛生管理のシステムが活用できることなどが明らかになった。これに対して、現地調査では、企業の社会的責任活動の一環として従業員と地域社会を対象とするHIV/AIDS対策をすすめることの可能性のほうが高いことが明らかになった。これをふまえて、初期介入の具体案を立て直し、次年度の調査・介入につなげていきたい。今年度の調査結果は、日本文化人類学会第41回研究大会(名古屋、平成19年6月2日から6月3日まで)、第135回アメリカ公衆衛生学会議(ワシントンDC,平成19年11月3目から11月7日まで)、アメリカ人類学会年次大会(ワシントンDC,平成19年11月27日から12月2日まで)において公表した。
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