研究課題/領域番号 |
19610001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高井 哲彦 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80312338)
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研究分担者 |
松田 紀子 北海道大学, 静岡大学国際交流センター, 准教授 (80432201)
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キーワード | 秩序 / 経済史 / フランス / 帝国 / 商工会議所 / 技術教育 / 危機 / 組織史 |
研究概要 |
本研究では、仏英帝国の旧植民地が、植民地化、独立戦争、社会主義化・内紛、経済自由化なと、幾多の危機に直面する中で多元的に再編される経緯を分析してきた。経済的秩序はとくに商工会議所、技術的秩序は技術教育を事例とし、地域としては旧仏帝国のインドシナおよび北アフリカに重点を置き、旧英帝国を一部の比較対象とした。 経済的秩序については、旧仏帝国の商工会議所を対象に、フランス、アルジェリア、モロッコ、カンボジア、インドの国立文書館においで調査を行った。ポンディシェリ商工会議所(旧仏領インド)では史料が確認できなかったが、他方、アルジェ商工会議所とカサブランカ商工会議所では、半世紀分の議事録の発掘と完全複写に成功した。この時代の経済活動の連続性は、独立後の旧植民地では「失われた記憶」となっていた。 技術的秩序については、とくに旧仏帝国の技術教育を対象に、フランスおよびカンボジアの国立文書館において調査を行った。カンボジアでは、カンボジア工科大学副学長へのインタビュー調査に成功した。 旧英帝国の経済的・技術的秩序については、英国とインドにて調査を行った。ロンドンの4つの技術者協会では旧英帝国内の技術団体史文献、インド商工会議所連盟ではインド商工会議所史文献等、彼らが内部図書として私蔵し他では閲覧困難な文献を複写できた。 経済的秩序に関する成果は、日仏比較の観点による研究交流として、French-Japanese Business History Conferenceで国際学会報告を行った。技術的秩序に関する成果は、現代との比較の観点から、『国際交流センター紀要』の研究論文として刊行し、フランス技術教育セミナーを開催した。また、旧英帝国に関する成果は、『社会史と経済史』という共訳書の形でも形にした。加えて、旧仏帝国圏における現地調査は、『Derivative Japan』における4本の記事としても、発表した。
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