ソ連邦崩壊後に成立した中央アジア諸国(ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)では民族運動、宗教運動の活性化が見られる。本研究プロジェクトではウズベキスタン、キルギス、カザフスタンを中心に、現地側の研究者との協力のもとに、社会・文化の変化過程に関する基礎的な調査研究を進めた。調査対象の焦点は復活した民族集団、宗教集団の動態と、日常使用言語の変化である。中央アジア3力国で進行しつつあるこうした変化を、人文社会科学の諸分野で実績のある目本および中央アジアの研究者を組織し2年間にわたる共同研究を進めた。民族集団、宗教集団及び言語文化の3つの領域につき研究班を構成し、諸種資料の収集、現地の視察と面接調査等を進め分析を深めると共に、研究報告会の討議を通じて3つの分野の相互関係の総合的解明を目指した。タシケント東洋学大学に設置された筑波大学国際連携センターおよび中央アジア4力国の下記の交流協定校をつないだネットワークを基盤に調査と研究集会を開催した。平成20年度については9-10月及び2-3月に2力国で6回の研究集会を開催することができその一部は報告書にまとめた。平成20年9月にはタシケントにおいて院生等若手研究者を巻き込んだ国際集会を開催し本プロジェクトの企図した共同研究の推進を実現させた。第1年度の調査研究では3力国における宗教組織、市民運動組織の把握と基礎的な情報め整理に力点が置かれたが、第2年度(最終年度)に当たる本年度においてはタシケント市、サマルカンド市、リシタン市、アルマトイ市等におけるそれら組織のボトムアップの文化・宗教復興運動の動きについて研究組織メンバーによる参与観察と面接調査により深めることができた。
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