研究課題/領域番号 |
19610010
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小長井 賀與 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (50440194)
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研究分担者 |
前田 忠弘 甲南大学, 法学部, 教授 (60157138)
中村 正 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90217860)
平山 真理 白鴎大学, 法学部, 専任講師 (20406234)
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キーワード | 犯罪者 / 改善更生プログラム / 就労支援と社会参加 / パートナーシップ / 被害者・地域との再統合のための橋渡し / インクルージョン / 国際情報交換 / スペイン:オーストラリア:アメリカ:フランス:イギリス |
研究概要 |
今年度は、海外の刑事司法機関や犯罪者支援団体の視察と国際情報交換、学会発表及び元犯罪者の改善更生プログラムの実施と開発という三つのアプローチにより研究を行った。 海外視察では、犯罪者のインクルージョンに関する多様なモデルを得るために、研究メンバーが手分けして、スペイン、フランス、イギリス、フィンランド、オーストラリア、アメリカの6か国を訪問し、情報収集と交換を行った。刑事司法機関及び市民セクターによる犯罪者等の社会復帰支援団体での視察・調査の結果、法体系や社会・文化的特徴によって差異はあるものの、どの国も司法による判決後の執行場面では、犯罪性を除去し向社会性を促進するための改善更生プログラムと、他機関・団体とのパートナーシップによる社会参加促進策が併せて整備されていた。EUでは社会参加促進策の中心は就労支援とされているが、そのための生活習慣の改善、職業訓練、就労斡旋が刑罰や処遇の中にうまく取り込まれていること(例えば、社会奉仕命令の履行の中で職業訓練を受けるなど)、さらには就労訓練中の生活費の一部を公的扶助によって補てんするなど、刑事司法制度と社会保障制度が繋がっている。一方、アメリカでは被害者と加害者を繋ぐ弁護士活動があるなど、 犯罪当事者双方の社会参加を支える新しいしくみが刑事司法の中に出現している。この活動については、当研究会メンバーが日本に紹介し、専門家の招へいと公開講演会等の開催に尽力した。 また、研究成果を学会で報告した。7月にスペイン・バルセロナで開催されたlnternational Society for Criminologyで、また、8月には日本司法福祉学会で「加害者のインクルージョン」をテーマに、当研究会メンバーがチームとして報告した。 さらに、臨床に携わるメンバーは、性犯罪者、DVや児童虐待の加害者を対象に改善更生プログラムを実施し、その発展と開発に携わった。また、非行少年の自助グループの立ち上げを支援した。
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