研究課題/領域番号 |
19610013
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
杉本 良男 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (60148294)
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研究分担者 |
小林 勝 長崎純心大学, 人文学部, 准教授 (20269096)
ANTONYSAMY Sagayaraj 南山大学, 人文学部, 専任講師 (10434606)
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キーワード | インド / タミルナードゥ州 / ケーララ州 / ヒンドゥー・ナショナリズム / 聖地 / インド洋律波 / ヒンドゥー寺院 / カリスマ |
研究概要 |
本年度は、サガヤラージがインド・タミルナードゥ州(8月12日-9月20日)、小林勝が同ケーララ州において(8月24日-9月11日)それぞれ長期の現地調査を実施した。サガヤラージはタミルナードゥ州における2つの2004年インド洋律波災害地域(チェンナイ市、ナーガパッティナム県ウェーラーンガンニ)を訪れ、災害後の複興過程における宗教間の軋轢の実相について聞き取り調査を行った。また、同州南部ディンディクル市郊外にあるキリスト教会を訪れ、ここ数年の間に急速に勃興した新しい聖地の実情について調査するとともにも、周辺地域のヒンドゥー教徒など関係について調査を行った。いずれも、現在のインドにおけるヒンドゥー・ナショナリズムの昂揚を背景に、北インドとはことなって従来この地域でもあまり強く見られなかったヒンドゥー教徒とキリスト教徒との間の紛争が散発している実情が明らかになった。小林は、基本的な「宗教」、「ヒンドゥー教」などの概念が歴史的に形成され、またそこに社会政治的要因が強く働いていたことを主に文献研究から明らかにするとともに、現地調査によってヒンドゥー寺院を中心とした地域社会の再編成の状況およびそこへのヒンドゥー・ナショナリズムの介入についてその実情を明らかにした。杉本は文献研究と調査資料により、南インドにおける聖トマスによるキリスト教開教伝説を取りあげて、その歴史的経緯とくにポルー、クリスチャン双方の対立関係についてその実態を多角的に明らかにした。
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