研究課題
本年度は、連携研究者のサガヤラージがインド・タミルナードゥ州(2月16日-3月19日)、同じく連携研究者の小林勝が同ケーララ州において(9月1日-9月21日)それぞれ長期の現地調査を実施した。サガヤラージはひきつづきタミルナードゥ州における2004年インド洋津波災害地域(ナーガパッティナム県ウェーラーンガンニ、カンニャクマーリ県コラチュル)を訪れ、災害後の復興過程における宗教間の軋轢の実相について聞き取り調査を行った。また、同州中部ティルチラーパッリ市郊外にあるキリスト教会を訪れ、これから整備されようとしている新しい聖地について調査を行った。昨年からの調査により、災害復興をめぐってヒンドゥー教徒とキリスト教徒との間の紛争が顕在化している実情が明らかになった。小林は、ひきつづき基本的な「宗教」、「ヒンドゥー教」などの概念の歴史的形過程について文献研究を行い、また現地調査によってヒンドゥー寺院を中心とした地域社会の再編成の状況およびそこへのヒンドゥー・ナショナリズムの介入についてその実情を明らかにした。杉本は文献研究と新聞資料などの分析により、南インドにおけるインド洋津波災害地域における支援団体の相違によって支援プロセスにおおきな差異が生じていること、またそれによって当該コミュニティのあり方にも大きな格差が生まれていること、とくに漁民と非漁民とのあいだに大きな格差が発生していること、などがあきらかになった。
すべて 2008 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)
Minpaku Anthropology Newsletter 26号
ページ: 5-7
Terada, Yoshitaka (ed.) Music and Society in South Asia : Perspectives from Japan (Senri Ethnological Studies 71), National Museum of Ethnology
ページ: 229-240
http://www.minpaku.ac.jp/research/sr/19610013.html