これまで博物館での資料管理はカードやラベルなどで行われていた。社会的にIT化が進む中、コンピュータで運用されるデータベースなどに乗り換えることが多くなってはきているが、標本管理作業自体はそれほど効率化していない。当研究では、ICタグ(RFIDタグ)を有効活用するデータベース連携システムを構築することにより、部屋のどこにいても、あるいは箱に入ったままでも標本管理可能な環境構築を目指す。また、ホームページで公開している当館の標本データベースでの公開、当館展示と連携した「展示用バーチャル標本庫システム」の構築、マウスやキーボードでなくICタグのついたカードや昆虫レプリカなどにより閲覧できるデータベースの構築などを図る。 プロジェクト1年目の平成19年度は、ICタグシステムの導入、およびシステムの標本庫におけるキャリブレーションを設定していた。今回導入される新技術は大型設備の設置も伴い、また設置は博物館の貴重な資料などがある標本庫であることから、標本庫への導入の前にシステムの評価を行う必要があった。ICタグは電波による優れた遠隔管理能力を備えているが、一方で検出器にかかりづらい角度などがあるという報告があることから、企画設計の段階でタグ添付の評価が必要である。今年度はPHP、 HTML、その他プログラミング言語に精通する研究協力者2名を雇用し、ICタグシステムのキャリブレーション、およびデータベースシステムのデザイニングを主に行い、次年度の標本庫への導入と展示との連携につながる成果を得た。
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