研究課題
京都工芸繊維大学美術工芸資料館の裂地コレクションについて、染織技術史的に裂地に用いられた染、織の技法を解明するために個別的な資料の目視および科学的調査を行ない、この成果をもとに2008年3月より企画展『裂地を辿る--京都工芸繊維大学美術工芸資料館蔵染織品の初公開』を開催した。また、本調査・分析成果を冊子としてまとめ図録として刊行した。主な成果は以下の通りである。【1】裂地数が82363点であることを確定し、その内の90%について写真撮影を行った。【2】特徴のある裂について、染織技術史的目視調査を行ない、詳細な調査票を作成した。【3】文化財染織品の材質分析について、収蔵場所での染料分析と繊維素材分析の非破壊分析手法の開発を行なった。変色の著しい一部資料について染料成分の特定に成功し、それに基づく制作当時の色彩をデジタル的に再現した。技術史的背景にこの化学分析および先端技術を加えた文理融合型展示と解説を行った。【4】化学分析に基づく成果を視覚的に伝えるためのデジタル復元手法を用い、展示に反映させた。【5】成果をデータベース化し、学内限定でWeb上にて試験公開した。【6】特徴のある裂について、大学所有の最先端研究機器を用いる調査を行った。特に、江戸時代の時代裂における紅染めについて一部資料を三次元蛍光分光法により詳細に調査したところ、ほとんどの事例で黄色染料が重ね染めされており、黄檗の使用が多数であることを明らかにした。【7】染織品調査会メンバーによる研究成果報告会を開催した。50数名の専門家の出席を得た。
すべて 2008 2007
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