本研究は、3次元デジタルアーカイブ研究と、実践授業を通して行ってきたWEB鑑賞教材をさらに発展させ、将来におけるデジタルミュージアムと地域における「施設ミュージアム」のあり方について検証考察を行うものである。本年度は以下の2つの研究成果を得た。 1.国内外ミュージアムの動向調査と分析 平成19年度は、国内の国立西洋美術館と国立民俗学博物館、九州国立博物館のコンテンツの運営動向を調査した。特に九州国立博物館の来館者を対象に、博物館の利用状況や音声解説機器についてアンケート調査を行った(日本人1187名、外国人384名)。結果、音声解説コンテンツに対し、来館者はどのような使い方をしているのか、そして展示説明には十分満足しているか等について調査することで解説機器と来館者との関係、機器と展示物との関係、機器と展示場との関係を明らかにした。また、赤外線センサー技術を用いた来館者の行動ログデータが取得できるシステムを開発し、PIC制御による操作ログの記録や各展示物に対する滞在時間を自動測定することで、ミュージアムにおける客観的なコンテンツの定量評価法を開発した。韓国とフランスのパリにおける地域連携を図る「施設ミュージアム」の主要な先進事例として、ルーヴル美術館、ポンピドゥー・センターの取材調査を行い、そこでの、デジタルミュージアムとの連携、その教育活用について調査した。特にルーヴル美術館の教育活動に関する取り組みについての取材調査の結果、今後日本国内において応用活用できる事例として大きな成果が得られた。 2、デジタルアーカイブデータのVRコンテンツとしての可能性について 福岡県宗像市沖ノ島を題材に今までのWEB鑑賞教材をさらに応用し、3次元VR技術を用いた教材の開発に取り組み、より広範囲の教師と生徒がユビキタス的に活用できるバーチャル展示館をWEB教育教材として開発した。
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