1. 学習教材化に向けた博物館資料の整備と検討 児童生徒が身近な事柄として興味を惹きやすい学習教材資料として、下総国府跡から出土した食物関連資料を収集整理したうえで検討を加え、デジタル化への変換作業をおこなった。この資料を中心に、ICTを活用した博物館学習教材として、館内用のiPod touchによるムービー機能の展示解説を作製した。これにより、館内での自主学習において児童生徒の直接経験が促進され、学習効果と満足度を高めるうえで大きな効果が認められた。 2. 地域学習連携システムの構築に向けての実践 小・中学校を中心とした地域学習連携システムを構築するため、地域の小・中学校に本研究の取り組み内容の周知を目的としたニューズレターを発行し、さらに地域の校長会を招致して、博学連携の具体的運用に対する検討会をおこなった。また、地域の市民ボランティア(市川案内人の会)と協力し、博物館を核とした地域を知るプログラムを検討作成した。博物館学習を推進するには、地域の教育機関や市民ボランティアなどの幅広い組織との相互理解にもとづく連携が、大きな効果をもたらすことが把握できた。 3. 博物館を起点とした地域学習システムの小・中学校における評価とその検討 ICTを活用した学習教材をもとに小・中学校へのアウトリーチを実施し、アンケートや聞き取り調査により博物館教育の効果を検証した。博物館資料をもとにICTを活用したアウトリーチは、教員との相互理解を深めることにより、博物館が目的とする教育的役割を発揮し、博学連携の質を高める方法として意義の大きいことを明らかにできた。
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