研究概要 |
具体的内容: 2007年度に,鑑賞支援方法の開発と,それを有効に機能させるためのデザインをおこない,広島市からの後援を受け,広島市内において半日で歩ける距離にある6作品を選び,実証実験を実施した。さらに,その評価を分析し,学会において,口頭発表を5件おこなった。 2008年度は,それらを踏まえ,学会と国際会議において,論文としてまとめた。 1)論文:伏見清香,吉村浩一,関口洋美,茂登山清文,「都市空間におけるユーザ・エクスペリエンスに考慮した作品鑑賞の共有」,日本展示学会,展示学,第45号,pp.2-9,(2008.05.01) 2)論文:伏見清香,茂登山清文,「携帯電話を使用した鑑賞支援のデザイン-汎用性を考慮した作品感想共有システム-」,日本デザイン学会,デザイン学研究,第55巻第1号,pp.65-74,(2008.05.31) 3)論文・口頭発表:Kiyoka FUSHIMI, Akiko BABA, Kiyofumi MOTOYAMA,"Sharing Appreciation of Public Art and Architecture in Hiroshima: Considering User-experience when Using Mobile Phones". International Conference on the Inclusive Museum 2008.3,800Word. (2008.06.08-11) 意義・重要性: 都市空間において景観の一部であるパブリック・アートを鑑賞対象とすることで,時間に拘束されることなく作品の鑑賞体験をおこなうことが可能であり,鑑賞を身近なものとすることができるため意義が有る。本システムを使用することにより,美術館における作品鑑賞に対する興味と関心に繋げ,さらに,地域や場の特性を活かしたパブリック・アートを鑑賞することで,参加者の都市景観に対する興味と関心を誘発することが可能である。 また,受け身になりがちな鑑賞において,写真撮影と投稿により,参加型のシステムとし,検索機能によりユーザ・エクスペリエンスと能動性を高める本システムは,新たな鑑賞の可能性を広げているため,意義がある。 さらに,より多くの人の使用を目指し,色覚特性に対応した色彩計画とすると同時に,屋外で使用することを考慮した色彩とした。その結果,実証実験において高い評価を得ることができ,鑑賞者の特性や多様な状況に対応したデザインは重要である。
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