研究概要 |
1,具体的内容 博物館機能のサテライト化を推進し、その成果を検証するために次の事項を行った。(1)児童生徒対象特性的環境配慮行動認知尺度の構成(2)標本・展示物等の移動、(3)サテライト設置校教員の資質向上をめざす研修会の実施、(4)保護者を含めた地域住民との連携、(5)授業における展示空間の利用、(6)博物館学芸員の設置校への出張授業、である。こうした取り組みによって、当該児童生徒の環境保全意識の変容と、生涯学習の視点から地域住民の参加意識を調査した。 2,意義 県立琵琶湖博物館は県南部に位置するため、県北部地域からの来館が十分とは言い切れない。学校余裕教室への移動展示によって、県北部の児童生徒や地域住民の文化意識が高まり、琵琶湖博物館への来館が増えるとともに、サテライト設置校との相互交流が促されるだろう。翻って、全国には文化意識の地域的な偏りなど同様の課題を抱える博物館が多数あると考えられる。本研究の成果と課題が明らかとなることにより、そうした博物館による多様な館外展示が促され、児童生徒の理科離れを食い止める一方法として寄与する。 3,重要性 いわゆる移動博物館に関し、博物館学における国内の実践研究事例として、標本類の貸し出しなどが紹介されている。しかし、学校へ向けた博物館機能のサテライト化によって、余裕教室を有効に活用した事例、教員の資質向上をめざした研修運営、生涯学習拠点として地域住民が学ぶ文化施設としての運営は報告されていない。また、学校教育による校内博物館の設営例は多々見られるものの、そのことが児童生徒の意識をどう変容させたか、という研究報告はない。
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