研究課題
本研究は、「博物館におけるX線CTスキャンデータの活用」という観点から、九州国立博物館設置の文化財用大型X線CTスキャナを用いて多様な文化財を測定し、得られたデータを用いて文化財の保存・活用をはかることを目的とする。調査対象とする文化財は、九州国立博物館が所有する文化財、特別展で借用する文化財、修理修復する文化財など、博物館に持ち込まれる文化財全般とした。まず、昨年度に本装置でさまざまな文化財を科学的に調査し、大きさや材質の異なる資料の基礎データを取得した。これにより、最適な測定精度や条件が把握できた。これをふまえ、今年度は等身大の彫像から小型の考古資料の測定まで行えるよう改良をすすめ、同時にデータ保存のためのバックアップシステムを構築した。また、分野の異なる専門家と研究会を開催し、学際的な調査ができるよう意見を交換した。測定データの活用の例として、測定で得られた三次元画像を用いサビに覆われた展示資料の構造の分かり易い解説や、木彫像の内部納入品を三次元スキャナで造形したことなどがあげられる。また、得られた成果の一部を文化財保存修復学会と日本文化財科学会で発表し、この分野でのX線CTの認知度と重要性を高めることができた。また、博物館・美術館や周辺の県市町村教育委員会、資料を保有する埋蔵文化財センターなどとの連携し文化財の状態調査や測定データの展示活用が進みつつある。
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東風西声 4
ページ: 112-103
ページ: 19-32