研究課題/領域番号 |
19612001
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石橋 純一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (20212920)
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研究分担者 |
江原 幸雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10002346)
山中 寿朗 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (60343331)
木村 浩之 静岡大学, 理学部, 助教 (30377717)
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キーワード | 鹿児島湾 / 浅海熱水系 / 地熱 / 熱水変質鉱物 / 熱水噴水孔 |
研究概要 |
本研究の目的は、地球物理学的手法(温度測定)、無機化学的手法(熱水変質鉱物の解析)、有機化学的手法(有機プロキシ組成の解析)、分子微生物学的手法(好熱性アーキアの遺伝子解析)によって得られる温度情報の比較検討を行って、鹿児島湾若尊火口における熱水循環系が形づくる火口底堆積層内の温度分布とその経時変動を推定することである。 平成19年度は、6月に行われたJAMSTEC(海洋研究開発機構)の無人潜水艇ハイパードルフィンを用いた潜航調査に参加して、研究に必要な試料採取・計測を行なった。 熱流量測定の結果からは、高い地殻熱流量を示す領域が火口底西側よりに北西-南東方向の帯状に分布することが明らかになった(藤野ほか)。これまでの研究によりゆるやかな熱水湧出が確認されている2点もこの領域に含まれている上に、さらに潜航調査による観察で最高200℃に達する熱水を伴う高温熱水噴出孔が存在することも発見した(Yamanaka et al.)。これらの知見から、熱水循環システムとそれがもたらす高温領域が鹿児島湾の広域的な断層構造に規制されていることが強く示唆される。 熱水湧出域から採取される堆積物中の粘土鉱物や間隙水の無機化学的解析からは、火山性ガス成分の寄与の増減による熱水変質反応の経時変動の兆候が見出された(Nakaseama et al.)。次年度には、ガス成分の精密な定量分析を行って、これを裏付ける熱力学的解析を行うことを計画している。 平成19年5月には、伊豆小笠原弧の水曜海山における潜航調査においても、同様な研究手法を展開する予備調査を実施し、その予察的成果を発表した(木村ほか)。また過去の調査で採取された間隙水の同位体比分析を行い熱水の起源と熱水反応についての考察をまとめ論文とした(Ishibashi et al.)。
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