研究課題
調査船「みらい」MR06-04航海でオホーツク海の3地点、ベーリング海の3地点から得られたピストンコアの古地磁気・岩石磁気測定を行った。オホーツク海のコアは、磁気的性質が相対古地磁気強度を求めるのに適しており、人工磁化ARMを用いて堆積物の磁化獲得効率変化を補正することにより、自然残留磁化強度から相対古地磁気強度変動を復元することができた。得られた相対古地磁気強度変動を北西大西洋のODP Site 983のそれと対比することにより、3本のコアの年代を1万年オーダーの分解能で推定した。相対古地磁気強度によるコア間の対比により、サイト間の氷期-間氷期変動に伴う堆積環境の違いが明らかとなり、海氷分布の変遷に関する情報が得られた。オホーツク海からは、調査船「よこすか」YK07-12航海で今年度さらにコア試料が採取された。今後古地磁気・岩石磁気測定を行うことにより、古環境変動に関する情報がさらに得られると期待される。ベーリング海の堆積物コアについては現在測定中であるが、初期続成作用による磁性鉱物の溶解が起きている可能性が高く、通常の方法では相対古地磁気強度変動を復元することは難しいことが判明した。相対古地磁気強度の信頼性を確保するためには、堆積物の磁化獲得効率の補正に用いる人工磁化の選択が重要であり、そのためFORC図を用いて海底堆積物中の磁性鉱物の磁気相互作用を評価した。人工磁化ARMは、磁性鉱物粒径の違いを補正するのには適しているが、磁気相互作用の程度の違いに強く影響される欠点がある。オホーツク海の堆積物については、これらのことを検討した結果ARMを採用した。
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Geochemistry, Geophysics, Geosystems(G-cubed) 9(on line)
Paleoceanography 23