全球気候モデル(AGCM)におけるサブグリッド積雪被覆率は、植生や地形によるサブグリッドスケールの積雪分布パターンによって変化するため、これらの影響を大きく受ける。積雪被覆率スキーム改良の検証を行うに当たって、積雪被覆率を積雪水当量の単純な関数で診断する方法(OLD)と、積雪のサブグリッド分布に対する植生や地形の効果を考慮した積雪被覆率スキーム(SSNOWD)をAGCMに組み込んで、衛星データと比較しながら、積雪分布の再現性を調べてきた。その結果、(1)積雪開始時期の被覆率が十分に大きくなること、(2)東シベリアの冬季の積雪被覆率が増大すること、(3)ロッキー山脈などの山岳域の積雪被覆率が減少して衛星データとの差異が小さくなることが明らかになってきた。一方で、最新の全球気候モデルでは、土地被覆スキームが精緻化されるとともに、土地利用データが更新されており、他の物理過程(放射、積雲対流、雲物理、境界層など)の改良と合わせて降水分布をはじめとする気候の再現性が大幅に改善されている。そこで、最新の全球気候モデルに基づくAGCMに、積雪サブグリッド被覆率の改良スキームを組み込、改良スキームを導入した効果を再評価するための数値実験の準備を行った。これにより、最新の植生被覆・土地利用を反映した全球気候モデルを用いて、積雪サブグリッド被覆率スキームを改良した効果を評価するオンライン実験が行えるようになった。
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