研究概要 |
積雪のサブグリッド被覆率モデルを導入した効果が、積雪の全般的な再現性に与える影響について検証するために、高解像衛星データによる積雪深や積雪アルベドのデータについて調査した。その結果、積雪深はデータが公開されているものの精度の信頼性が十分ではないためモデルの検証には推奨されないが、積雪アルベドのデータは検証に用いることができると考えられることが分かった。 積雪のサブグリッド被覆率モデル(SSNOWD)を導入した全球気候モデル(大気大循環モデル,AGCM)と、積雪被覆率を積雪水当量の単純な関数で診断するスキーム(OLD)を入れたAGCMを用いて、全球オンライン実験を行い、それぞれの結果について積雪被覆率を高解像衛星データ(MODIS)による積雪被覆率と比較してSSNOWDを導入した効果を調べた。その結果、東シベリア及び積雪開始域においては積雪量が小さいために、OLDでは被覆率が過小評価されていたことがSSNOWDでは改善されることが明らかになった。また、ロッキー山脈やアラスカにおいて、モデルの誤差が減少する傾向が認められた。 一方で、中国東部では融雪期にモデルの誤差が増大する傾向が見られた。このことが積雪スキームによるものか、あるいは気温や降水量などの誤差によるものかを調べるために、気温や降水量の全球観測データとモデルの結果を比較したところ、これは積雪被覆率モデルを導入した副次的な効果によって、気温や降水量のモデル誤差が新たに発生したためであることが明らかになった。
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