生体深部をin vivoイメージングすることを目標に、近赤外蛍光体・多色ルシフェラーゼを融合させ、2つの物質問に生じるエネルギー移動を利用し、融合体より最大発光波長650-750nmの光を発する近赤外発光プローブの創製を目的とする。本年度は具体的な課題として、最大発光波長460nm波長で励起できる近赤外蛍光体とウミホタルルシフェラーゼ融合体の合成、融合体と抗体の融合化、及びマウス体内のガンの可視化について検討した。 その結果、 ・ビオチン化ウミホタルルシフェラーゼとナノドットの融合体から近赤外が発光することは確認したが、これで分子サイズが大きく、抗体などと融合させても自由に局在を制御できなかった。そこで、ナノドットの代わりに有機蛍光体を結合させ、近赤外発光が出ることを確認した。 ・有機蛍光体ウミホタルルシフェラーゼ由来の近赤外発光プローブにビオチンを介して肝がんマーカーのD1k抗体と融合させることに成功した。本抗体プローブによってD1k発現細胞を標識できることを明らかにした。 ・マウス体内にD1k発現細胞を移植、1cm程度の大きさになった段階で、D1lk抗体・有機蛍光体ウミホタルルシフェラーゼ融合近赤外発光プローブを注射、1-2日程度経過後、ウミホタルルシフェリンを注射するとマウス個体中の肝がん組織をイメージングすることに成功した。現在、論文作成中である。 ・生体深部のイメージングの一環としてホタルルシフェラーゼ導入マウスの骨髄液を注入、炎症などに伴う脳深部の再生過程のイメージングに成功した(Biochem Biophys Res Commun.に論文を掲載)。
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