1. Pseudomonas putida KT2440のLitRタイリングアレイ解析よって同定した青色光によって誘導される遺伝子群について、RT-PCRを主に用いた解析によりその光依存性を確認した。その結果、脂肪酸合成に関連すると推測される機能未知遺伝子クラスター、葉酸生合成遺伝子、フェニル酢酸分解遺伝子クラスターが光によって誘導されることを明確にした。一方、litR1破壊株を取得し、それについても同様の解析を行った結果、いずれの遺伝子についても依然として光誘導性が観察された。このことから、2つのパラログ(litR2、litR3)がlitR1の機能を相補していることが示唆された。 2. Streptomyces coelicolorのコバラミン生合成遺伝子LitRのリガンドとして光応答に重要な役割を果たすことが予想されるコバラミン(ビタミンB12)について、その生合成遺伝子を放線菌S. coelicolor A3(2)において破壊した。その結果、光応答性が失われただけでなく、形態分化と抗生物質生産にも負の影響が認められた。このことから、コバラミンは本菌においてグローバルな調節に要求される因子であることが明確になった。 3.光に依存した表現形質の探索前年度に引き続き土壌等を単離源として光に応答を示す菌株を探索した結果、多数の細菌株が得られた。16SrRNA配列解析から、これまでに取得されていたBacillus属及びPseudomonas属に加えて、Arthrobacter属細菌が多く得られ、本属にも光応答性の遺伝制御機構が存在することが予想された。
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