○処理の隠蔽アルゴリズの開発とその達成度の定量的評価を目指し、以下の2点の研究を行った。 1.プログラム中に含まれる変数の数とプログラムの行数の関係の検討 プログラムに含まれる変数の数とプログラムの行数(プログラムの規模)の間には、正の相関関係があると考えられる。また、プログラムを分割して得られた断片についても、その中に含まれる変数の数と断片の行数の間にも正の相関関係があると考えられる。しかし、プログラム全体での相関関係と、断片における相関関係は同一であるとは言い切れない。もし、同一でないとすれば、断片に含まれる変数の数と行数から、分割前のプログラム全体の規模が類推できる可能性がある。この試験期間において、上記それぞれの相関関係についての評価、検討を行った。また、プログラム断片中の変数の数と行数から、元のプログラムの全体像を類推した場合の誤差についての検討を行った。 2.プログラム中の行相互間の依存関係と隠蔽についての検討 プログラムの各行は、変数に対する書き込み、読み出しによってもたらされる依存関係がある。この依存関係を追跡することで、プログラムの全体像を把握できる可能性がある。従って、プログラムを複数の断片に分割しても、断片間の依存関係を解析者に知られると、結果的に分割の効果がなくなってしまう。そこで、実際のプログラムを対象に、プログラム解析の視点から依存関係の分析を行い、依存関係分析の点から、適切なプログラム断片のサイズについての検討を行った。 ○委託に対する信頼性確保技術の開発をめざし、結果のわかっているプログラムを細分化して、各コンピュータノードに実行を依頼するプログラム断片に混入させることで、委託した処理が適切に実行されているかどうかを検証する方法の提案と検討を行った。
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