研究概要 |
(1)「処理の隠蔽」アルゴリズムの改善 これまで,処理対象となるプログラムを分割し,ダミーコードと共に再構成することで,グリッドを構成するコンピュータに元のプログラムの処理や目的を隠蔽するアルゴリズムの提案を行ってきた.しかし,プログラム断片から得られる結果を収集し,次の処理コンピュータに分配する処理を信頼できるコンピュータで行うと,負荷の集中が起こってしまう.そこで,結果の受け渡しをグリッドを構成するコンピュータに行わせる一方で,複数のコンピュータを経由させることで,プログラム断片間の繋がりをわかりにくくする方法を提案した.また,提案方法に対して数学的な解析を行い,その信頼性について定量的評価を行い.実用性が高いことを示した. (2)「委託に対する信用性確保」技術の改善 不正な改ざんや不正処理に対する有効な対策として,同じ処理を複数のコンピュータで行う多重化がある.エクスターナルグリッドは,インターネット上の多数のコンピュータで構成されるため,多重化による資源の消費は問題とならないが,改ざんや不正処理の検出を行うための多数決処理に伴う負荷の集中が問題となる.そこで,多数決処理もグリッドを構成するコンピュータに行わせる方法の提案を行った. 提案方法では,同一の処理結果をもたらす複数のコンピュータとその結果を受け取る複数のコンピュータ間で,多対多の関係で,結果の受け渡しを行う.そして,結果を受け取る側で多数決処理を行い,改ざんや不正処理を検出する.この方法では,多数決処理が分散的,かつ並列的に行われる為に,負荷の集中を避けることができ,さらには高い信頼性も確保できる.また,数学的手法で,その信頼性を定量的に評価した.なお,その成果は,2009年10月開催のInternational Multi-Conference on Advanced Computer Systemsで発表の予定である.
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