本研究課題の目的は、決定論的な機械学習アルゴリズムではなく、特に、自然の営みの中で生物が行っている情報処理方法に範を求めたアルゴリズムを開発することにある。具体的には、確率共鳴現象と呼ばれる考え方を用いて、新規な学習アルゴリズムを開発することを目的としている。本年度は、データを頂点、データ間の関係を辺としたグラフを用いた半教師つき学習アルゴリズムを開発した。従来のグラフに基づく学習アルゴリズムは、作成するグラフに分類精度が依存しているという問題点があった。この問題に対し、確率的逆伝播をもつ有向グラフというグラフ構築手法を提案した。逆伝播を持つ有向グラフは、有向辺が存在する頂点間に対し、逆向きの辺を確率的に付与して作成する。この手法を用いて、既存のグラフベースの学習手法よりも高い分類精度を示す学習器が生成できた。確率的逆伝播による分類精度向上を説明するために、確立共鳴の考え方を導入している。
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