本年度は、先す今年度購入した視覚刺激作成装置ViSaGeを用いた実験系を組み上げ、赤-青緑・二重拮抗型色受容野の存在を実証するために必要な関連研究の追試を行った。錐体コントラストの計算に必要なCRTディスプレーの赤、緑、青の蛍光体の分光スペクトル特性を計測した。また、実験手法として採用予定のquadrature protocol法に関する先行研究のデータを再現できることを確認した。さらに、青錐体入力が赤みの検出に影響を与えているという先行研究のデータも再現することができた。以上の予備実験を元に、研究計画・方法に記載した内容に従って、錐体コントラスト空間における赤-緑軸から赤-青緑軸にかけての空間周波数特性の測定を開始した。赤-緑軸上で空間周波数変調した刺激による錐体コントラスト空間におけるしきい値の形状は、先行研究と同じ結果となった。さらに、青錐体コントラスト刺激を加えた実験を行っている。現在までの所、何らかの結論を得るまでのデータは集まっていないが、実験は順調に行われている。 本研究を行う動機となった道路交通標識の実時間認識システムの構成は、順調に行われており、RGBからHSV空間への変換をテーブル化することにより、処理時間を約1/10に短縮することができた。また、識別パラメータを調整することにより、99%以上の認識率を達成することができた。これらの成果は、ITS(Intelligent Transportation Systems)に関する国際会議ITSWC2007で報告した。報告された関連研究の中で最先端を行っている内容であり、最優秀論文賞にノミネートされた。 共同研究者の辻村誠一准教授は、本研究課題に開連した研究として、赤-緑輝度メカニズムに関する研究を引き続き行っている。
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