研究概要 |
CSPE方式人工内耳の調整方法(フィッティング:fitting)として,音響的にT/Cレベルを測定する方法を開発し,さらに,そのTレベルを等ラウドネスとなるように調整することによって人工内耳装用者の装用感を大幅に改善できることを発見した。従来方式であるACE方式では電気的にのみT/Cレベルを調整していたのに対して,音響的にT/Cレベルを測定すると必ずしも等ラウドネスになっている訳ではなく,ばらつきがかなりあることが見出された。そして,このばらっきと装用時の違和感とに関連が推測された。ACE方式においても等ラウドネスとなるように調整することによって装用感の大幅な改善が期待される。この音響的聴力検査方式は種々の人工内耳方式および補聴器と人工内耳併用方式の調整方法として有効と考えられるので特許を出願済み(特願2008・058566)である。 音楽のためのコード化法として我々の提案しているCSPE法が優れているとの推察から,人工内耳装用者に2ケ月以上に渡って経過を観察する計画に関しては,前提条件として個人ごとに最適に調整する必要があるので,今年度は前記の手段を開発して本課題に目処を付けた。音楽コード化と人工内耳コードの変換について基礎的検討を行ってきた。 人工内耳の生活環境での音響的特性の測定及び改善のために狭空間での特性の測定を行い,論文誌および学会発表を行った。第6回アジア太平洋人工内耳および関連科学会議にてCSPE方式と常用のACE方式人工内耳の比較評価結果にっいて発表を行った。その他,日本音響学会秋季及び春季研究発表会において研究成果を発表した。
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