本年度は解析的DPマッチングに関する理論展開と評価実験を中心として、以下の通り研究を実施した。 【2次元パターン(画像)の解析的DPマッチングに関する理論展開】高速な弾性マッチングを実現する解析的DPマッチングについて、従来のDPマッチングが不得意としていた問題すなわち2次元パターン(画像)のマッチング問題においても同様の解析的DPマッチング法の考え方が適用しうることの証明、および理論的な計算量オーダーが従来法に比べ激減できることの証明を行った。また本結果を、昨年7月の画像の認識・理解シンポジウムにて発表した。 【手法の妥当性の吟味・評価と対処法に関する理論展開】解析的DPマッチング法の大前提となっているマッチング誤差関数の2次関数近似表現について、その妥当性を理論的・実験的に吟味・評価した。上記の2次元パターンのマッチングについては、実際にアルゴリズムを実装し、確かに理論どおりの計算量(多項式時間計算量)となっていることを確認した。また顔画像や文字画像を対象としたマッチング実験を通して、高速ながら妥当なマッチング精度が得られることも確認した。さらに1次元パターンを対象とした解析的DPマッチングについても、画像中の物体追跡問題をテストベッドとして網羅的な評価を行った。予想していた通り、粗密探索的な手法が効果的であることが実証された。また、本手法の鍵となる、マッチング誤差関数の2次関数近似表現についても、その妥当な方法を幾つか開発し、実装の上、評価した。
|