研究課題/領域番号 |
19650048
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
久野 節二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70136216)
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研究分担者 |
五十殿 利治 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60177300)
山中 敏正 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00261793)
首藤 文洋 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10326837)
大島 直樹 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 講師 (50375466)
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キーワード | 嗅覚 / 視覚 / 絵画鑑賞 / 感性 / 脳機能 |
研究概要 |
鑑賞絵画に、抽象画(カンディンスキー作品)と具象画(マチス作品)を使用し、以下の手順で実験を行った。(1)モニターに現れた「+」マークを注視(15秒間)、(2)抽象画鑑賞(5秒間提示後、自動的に次の印象アンケート画面に切り替わる)、(3)マウス操作により鑑賞した作品についての印象アンケートに回答(回答時間は自由)。各被験者は(1)〜(3)の試行を22回繰り返して試行する。このタスク遂行の期間中、被験者には(1)の実験開始時からヒノキの匂いが鼻腔直下に誘導したチューブから連続して提示された。なお、対照群となる匂い刺激が提示されない条件でのデータについては、我々が既に行っている研究で取得済みのデータを用い、今回のデータと比較検討した。以前の研究では匂い刺激のない状況では抽象画鑑賞した時に左前頭葉脳活動が亢進するということが示されが、適用したデータ標準化方法によっては、この機能的側性が確認できないことがあること今回明らかになった。しかし、今回の実験で実験開始後10秒間に取得されたデータについて新規の標準化法で解析した結果では、嗅覚受容がない状況では前頭部の酸素化ヘモグロビン量は抽象絵画よりも具象画鑑賞時で多く、嗅覚受容がある状況では、抽象絵画鑑賞時の方が多くなる部位が存在することが確認された。以上のことは、データ解析のパラメーター設定の重要性と、視覚情報処理が嗅覚情報受容により何らかの影響を受ける可能性があることを示唆している。今後は、異種の嗅覚刺激の効果とデータ解析法の適否を検討する予定である。
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