研究概要 |
本年度は、研究の初年度にあたり、以下のように理論研究を主に推進した。 (1)クリスプバッグと一般化バッグ(ファジィバッグを含む)の概念整理を行い、その基本的定義、理論的性質を明らかにした。新たな概念として、ν-カットなどについて考察した。この結果は、研究論文として発表した。また、クリスプバッグと一般化バッグにおけるガロア対応について検討を行っている。 (2)クリスプバッグにもとづく可能性理論について考察した。この方向には、様々な難点があることがむしろ明らかになってきた。この結果は、学会および筑波大学の内部研究会で報告した。 (3)クリスプバッグにおける相対的全体集合族の仮定と確率論,条件付き確率族への対応について考察した。その結果、ベイズ確率モデルの概念とクリスプバッグモデルとが密接な関係をもつことが明らかになってきた。さらに、ファジィバッグを用いたときの問題点について考察した。主な問題点は、現実の問題で利用される独立性の仮定がファジィバッグのモデルにおいて適切であるかどうかという点にある。 (4)バッグベース情報検索モデルについての考察を開始した。情報検索よりも、むしろデータマイニングに有用な概念として、バッグ関係モデル、バッグ近傍モデルについて考察を進めるべきであることがわかった。これについては、20年度に発表する予定である。 (5)前項で述べたバッグ近傍モデルは、テキストマイニングやテキスト検索に重要であり、カーネル法にもとづくテキストデータ解析の新たな方法となる見通しが得られている。これは、当初予想していなかった成果である。
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