本研究では、事柄に対する知識を、一定の知識表現構造によって多面的に記述したレファレンスツール(知識事典)の構築を目指す。平成19年度は、主として知識の完全表現を行なう知識メタデータ構造の検討と、実際の知識メタデータの作成作業を行なった。 具体的には、教科書および国語辞典を用いたこれまでの知識表現に関する研究の結果を分析することにより、まず知識を表現するメタデータ構造を作成した。分析の結果、メタデータ構造はモノ・コトの視点と動的・静的の視点で捉え、「出来方」「変わり方」「外見」「構成・成分」「全体」「機能」「変遷」「用途」「性質」「上位概念」「場所」「値・量」「等価の用語」「反対語」「対比」「現象」「状態」「下位概念」にまとめた。さらにこのメタデータ構造は知識フレームやセマンティックネットワークなどの既存の各種の知識表現手法で表現される内容を全て包含する事を確認した。なお、この成果については、平成20年5月の情報知織学会大会で発表の予定である。 次いで3種類の電子百科事典を対象に、約3500項目の用語の説明文を、文章毎にこれらのメタデータ構造に分類する作業を行なった。本年度の研究の大部分はこの作業に費やされたが、概ね全ての項目の分類作業を終えた。この作業結果は知識メタデータの基本的な部分を構成するものであり、その欠損部分を平成20年度に作成することにより目的とするレファレンスツールのデータ部分が完成することになる。また、この結果を解析することにより百科事典の説明の特徴を明らかにする事も予定している。
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