本研究では、事柄に対する知識を、一定の知識表現構造によって多面的に記述したレファレンスツール(知識辞典)の構築を目指している。平成21年度は最終年度としてモデルシステムとして、パーソナルレベルではあるが実際のレファレンスツール(知識辞典)の構築を行った。 具体的には、まず限定した個数の用語について、昨年度の研究によって改訂した知識メタデータ(「外見」「構成・成分」「全体」「性質」「出来方」「変わり方」「機能」「用途・用法」「変遷」「上位概念」「下位概念」「対比」「等価の用語」「反対語」)に基づき、電子百科事典から知識メタデータ項目を再度抽出した。次に、説明文の内容を吟味して一定レベルの内容に揃えるよう説明文の文章を書き直した。百科事典の説明文の記述の分量には差異が非常に大きく、長文のものについての要約作業を中心に行った。さらに百科事典の記述内容は昨年度の研究で明らかにした様に、知識メタデータの視点で見ると偏った項目に集中しており、多くの知識メタデータ項目において欠損があった。そこで欠損している知識メタデータ項目について、種々のレファレンスツールを用いて説明文を新たに作成した。一方、知識事典の機能やユーザインタフェースについて検討を行い、知識事典のシステム設計を行った。それをデータベースシステム(Microsoft Access)を用いて実装し、パーソナルレベルのレファレンスツールを構築した。 構築した知識事典の評価については未だ十分な検討を行っていないが、その機能性や有用性は高いと考えられる。今回構築したものは著作権の問題から公開する事は困難である。今後は、多くの人が利用できるよう、公開の方法等について検討する必要があろう。
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