砂漠のような過酷な環境に耐えうるような耐候性、世紀を越える程の安定性を持つ、文化財や遺物の管理に適した微細なIDマーカーの実現し、ネットワーク情報システムと連携する遺跡発掘モニタリングシステムを試作し、その資料管理にコンピュータ読取り可能なタグシステムに関する研究の萌芽を立ち上げることを目的に、過酷な考古発掘現場の実験フィールドとして、エジプトの遺跡調査を取り上げた。研究実績は、1)高耐候性の3レベル多重解像度の微細セラミクス二次元バーコードを、世界で唯一にカーボンセラミクスインクの焼成による超耐久性バーコードを生産するシグマックス社に製造委託し開発した。PCカメラによる認識システムにより、微細QRコードの読取り性能を確認した。2)本試作セラミクスバーコードを、研究期間の繰越より、エジプトサッカラ遺跡の階段ピラミッド現地調査(平成20年6月)に持ち込み、北アフリカの砂砂漠での4週間暴露実験を実施した。この暴露実験より、遺跡調査に必要な耐候性が充分に確保されていることを確認でき、砂漠にけるタグの保護に関する知見が収集できた。3)RFIDマーカーを利用した遺跡発掘のデータベース検索とライフログ映像モニタリングを兼ね備えた装着据置強調型システム、複合現実感を利用した遺跡資料検索提示するテープルトップ型システムの2種のマルチメディア情報システムを開発し、後者は時に日本バーチャルリアリティ学会でデモ公開を行った。4)企画調査として、エジプト考古庁、エジプト大使館、駐エジプト日本大使館との情報交換により、国内のオリエント博物館、東京工業大学、元興寺文化財研究所他の研究者との交流により進めた。
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