1.19年度に終了した実験 (1)アジアゾウの記憶実験(音声) 現在日本国内で飼育されているアジアゾウが、現地の言葉(タイ語)を記憶しているかを音声プレイバック課題により検討した。2頭の象を対象に実験した結果、音声(ヒトの号令)を理解していることは示されたが、タイ語を記憶していることは確認されなかった。 (2)アジアゾウの総和の相対的数量判断研究 飼育アジアゾウを対象に、彼らが総和を把握し、その相対的大小判断ができるかを実験した。実験には、恩賜上野動物園・京都市立動物園・天王寺動物園の3園に協力していただいた。実験した3頭のうち2頭が実験に協力し、データを得ることができた。その結果、アジアゾウが総和を把握し、その相対的な大小判断をできることが示唆された。実験結果の1部は日本動物心理学会例会および第二回シンポジウム「ゾウを知る、ゾウから学ぶ:ゾウオロジー2008」で発表した。 2.19年度末時点で進行中の実験等 上記の(2)アジアゾウの相対的数量判断能力研究の結果を受け、の総和の相対的数量判断研究から、1から6までの数量について、アジアゾウの相対的数量判断能力がかなり正確であり、提示された2つの数量差に正答率が影響されないことなどが示された。その結果を受け、提示する数量をより大きくした場合の彼らの正答率への影響に関する検討を進めている。されに、被験体数を大きくするため、30頭のアジアゾウを飼育しているタイのゾウキャンプ(ランパン)での実験の実施を検討している。また、これまでの実験データを論文にまとめ、学術誌(Animal Cognition)に投稿中である。
|