より自動的かつ柔軟なパターンの扱いを可能にすることを目指して、「図式とその断面によるパターン表現」という新概念を定式化し、統一的で一般性が高く、パターンの構造情報と実装依存部分を分離できる表現方法を提案した。これは、データの入っている集合と、それを特徴付ける写像と、それらの組合せで作られる写像の全体の組み合わせによってデータを表現する方法である。例えば画像ならば2次元平面から色空間への写像全体の空間がデータ空間であるが、この空間は「2次元平面」「色空間」「2空間の間の写像」という要素から組み立てられる。そしてそれぞれの空間には、2次元平面上の平行移動・回転のような、空間を特徴付ける写像があり、組み立てられた2次元平面から色空間への写像全体の空間(画像の空間)にも、要素空間の写像から自然に導かれる写像(例えば画像を平行移動する写像)が存在する。これらの写像を組み合わせることによってデータ中の規則性を表現し、いわば「データ空間中に計算を埋め込む」ことによりパターンを表現する。したがって、規則性の高いパターンほどより少ないデータ量で表現できる。 一方、このデータ表現によるパターン発見を目指して、最適化問題との関係を探った。組合せ論的最適化問題であるMAXSATとの関連に注目し、線形計画法・半正定値計画法を使ったアルゴリズムを利用したその解法を実装し、トイモデルにおける一定の成果を見た。 また関連して、コンピュータビジョンにおける新しい曲面先験モデルの定式化についても検討し、ガウス曲率絶対値の有効性を確認した。
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