研究課題
情報科学では、抽象化された情報と現実の世界の一般対象の関係、すなわち符号化は、任意であるとされる。逆に、一般対象に内包される情報の概念は、符号化できる対象の全体を限定して、その範囲でのみ意味を持つ。しかし、対象の全体が大きくなると、その全体に共通して適用可能な情報概念の定義が難しくなる。ビットで表わされる記号の世界を離れて情報について考えると、他にも符号化の任意性の喪失や、一般対象の規則性と符号の規則性の不一致等の問題が生ずる。本研究では、「図式とその断面によるパターン表現」という新概念を定式化し、統一的で一般性が高く、パターンの構造情報と実装依存部分を分離できる非記号情報の表現方法を提案した。これはそのパターンの含まれる空間を特徴付ける写像の集合に対して相対的に定義されるが、自然数を特徴付ける写像(0を与える写像と後者写像)に相対的に定義されたとき、この表現により表現可能な写像全体は帰納的部分関数全体と一致することを示した。また、この表現によるパターン発見を目指して、最適化問題との関係を探るうち、高次元データの中に高階相関構造を見つけることの重要性を認識し、コンピュータビジョンにおける新しい曲面事前モデルの定式化についても検討した。これから示唆された曲面事前モデルであるガウス曲率絶対値最小化を、より性能の高い最新の最適化技術で行うため、グラフカットにおける高階エネルギーの最小化について研究した結果、任意の高階2値エネルギーを1階に変換する方法を発見し、またそれを繰り返し使うことによる多値エネルギー最小化法も開発した。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 産業財産権 (1件)
IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence (掲載確定, 未定)