研究概要 |
本年度は映画の感動に関するイベントデータの取得のための実験と統計的分析方法について研究を行った.感動イベントはイベントの生起時刻である,また,感動の程度も評価するために,その大きさも測定した,モデリングとしては,1つの方法は点過程であり,他の方法としてノンパラメトリックなMCF法の利用も検討してみた.点過程による分析については,ノンパラメトリックな強度関数を滑らかに推定する問題としてとらえ,1つの作品の中に,被験者に共通の複数の強度関数の山があることがわかった,個人差が大きいので個人差のパラメータを調整する必要があったが,被験者の数が必ずしも十分でないため,精密なモデリングについて次の研究課題としたい.この成果は,一部が21世紀の統計学II(自然・生物・健康の統計科学)に発表した.ガウシアンカーネルを用いたノンパラメトリックなスムージングとそのスムージンパラメータの推定には交差検証を用いた積分平均2乗誤差最小法によって計算が行われている. さらに, MCF法については,日本計算機統計学会の大会でその有用性について論じた.特にMCFの差分プロットにより,作品の違いによる感動パターンの評価が可能であることを考察した.時点ごとに検定が可能であり,目視による評価だけでなく,統計的検定を用いて,そのパターンの違いをみることができるようになった.
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