研究概要 |
・典型的なタンパク質の時系列トラジェクトリーは,生物学的知識を適用して幾つかの群に分類し,群ラベルを与えることができる場合が多い.このようなラベルが付けられたデータを学習データとして用いて,ラベルが付けられなかったタンパク質の(非典型的)時系列トラジェクトリーを判別するのに有用な関数ロジスティック判別分析法を開発した.この方法は,離散的ないくつかの時点において観測されたデータを,滑らかな関数を観測したときの誤差を伴う実現値と考え,この関数を基底関数展開で近似した上で,平滑化法によって推定するというアイディアで,まず潜在する真のタンパク質の質量変化トラジェクトリー曲線を推定する.次にロジスティックモデルを導入し,非典型的なデータの判別に適用する方法である.方法論として新しく,国際計量生物学会等で発表するとともに論文として公表した. ・オクラホマ大学医学部松本博行教授のグループは,427個のスポットにおける生後1,3,5,7,9,14,21,28日目のマウス網膜のタンパク質を,2次元ゲルを用いて観測している.また, Haniu et al. (2006)はこのデータのうち134個のタンパク質の典型的トラジェクトリーをJuvenile, Adult, Transientの3群にラベリングしている.開発した方法を適用し,除外基準をみたす残りの231個について判別をおこない有意義な結果をえたこの結果を学術専門誌に投稿するための作業を行っている.
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