研究課題
本課題では、脳が刻々変化する環境で状況認識を更新し目的を再定義する文脈依存的な情報過程を再現する脳型ロボットの基礎実験と基盤技術確立を目的とした。神経同期発火に基づく情報表現が記憶・状況認識・目的定義の連環とリアルタイム性を実現し、創発的な行動決定を生むと仮説を立て、三年間に渡り研究を進めてきた。初年度は脳数理モデルの実時間シミュレーターと無線ロボット通信を確立し行動-記憶-意志決定系の実験を行い、次年度では行動決定の複雑性を促す視覚や操作手の感覚系など脳と身体性の問題に取り組んだ。総括となる本年度は当初計画ではロボット集団による協力的目的達成を掲げていたが、二年の成果を発展させ課題達成を具体的なものとするため、脳内の異なる領野の協力体制解明とそのロボット実験のための技術的基盤確立を優先した。その結果、脳を再現し創発的知能を得るためには、広範な神経科学の知見を活かし実験研究へ示唆する神経数理のレベル、脳-身体-環境の総体に注目し脳内機能単位間の連携を明確にする機能ユニットレベル、そして脳内の階層的な時間性と機能創出に注目する単純原理レベルの三つにより本課題遂行の実効性が得られることがわかった。それぞれ研究論文として成果報告し、方法論総括は招待講演等で発表した。第一のレベルでは、記憶-意志決定系が遂行中の自律行動決定に適切に干渉するためには十倍程度の時間スケールの振動周期の緩慢さが要求されること、第二ではロボットのリアルタイム制御の滑らかさや鋭敏性は通信-制御系を末端-中枢神経系の時間スケールに合わせてモデル設計することで柔軟性や自発的な再試行が得られることを明らかにした。第三では環境変化への鋭敏性は内部時間発展との整合性が不可欠として神経集団を簡素化した粒子系シミュレーターによるリアルタイムロボット実験で示唆され、創発性を生む神経集団の協力体制の工学的応用への道を開いた。
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Neuromorphic and Brain-Based Robots : Trends and Perspectives(Cambridge University Press) (in press)
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