研究課題
NIRS(近赤外分光分析法)は頭表上に設置したプローブから、近赤外光を用いて、脳の活性状態を血流変化として計測する方法である。拘束性が低く、また小規模な装置しか要さないため、様々な実験課題の遂行が可能であり、幅広い分野への応用が期待されている。しかし、実際の普及に際しては、統計的なデータ解析手法の不備という問題がある。そこで、本研究は、計測部位、被験者間のデータのばらつき、乳幼児計測において頻発する欠損データなどの問題を、リサンプリング法を用いた、頑健な統計手法の適用によって解決することを目的とする。本年度は、欠損データ問題に対するブートストラップ法の妥当性検証を行った。NIRSは乳幼児や障害者など、fMRIでの計測が困難な被験者の計測に威力を発揮するが、元々計測困難な対象を扱うため、欠損データが頻発する。この結果、多チャンネル計測において、チャンネルごとにサンプル数が異なるという問題が生じる。通常のパラメトリック法は母集団からのランダムサンプリング、データの等質性を仮定するため、このような欠損データには適切ではない。一方、ノンパラメトリック法のブートストラップ法は交換可能性という仮定を要しないため、欠損データの多い場合に有効である可能性があった。そこで、NIRSデータにブートストラップ法を適用したところ、実用上、十分な検出力が得られた。さらに、この元データから、ランダムにデータを欠損させて、シミュレーションしたところ、欠損値に対する検出力の低下は実用的には問題ない程度であることが分かった。したがって、NIRSデータへのブートストラップ法の適用は極めて現実的な選択肢であることが明らかとなった。この成果は、NIRSのみならず、ニューロイメージング研究におけるブートストラップ法の実用性を示した最初の適用例として、国際誌に受理された(報告は次年度)。
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