【目的】細胞には、アミノ酸に対する2つの機構-センサーと応答反応-が存在する。申請者等は、アミロイド-β産生に関わるガンマ-セクレターゼ活性が、アミノ酸センサーシグナルによりダイナミックに変化することを世界に先駆けて明らかにした。既に、ヒトプレセニリン-1プロモーター領域におけるATF4結合部位を同定し、さらに、ATF4がガンマ-セクレターゼ複合体の"マスター分子"として活性化に寄与していることを示している。 本研究は、申請者のみしか知り得ない斬新な知見に基づき、飢餓適応反応とアミノ酸センサーシグナルの相互関係を解明する。すなわち、ガンマ-セクレターゼ活性上昇の生物学的意義のみならずアルツハイマー病に対する治療法開発の基盤となる知見を得ることを目的としている。 【研究実績】 プレセニリン発現制御におけるオートファジーシグナルの役割の解析: 1.pSuperベクターにatg5のsiRNAをクローニングし、C末側APPの安定発現HEK293細胞株にatg5siRNAを遺伝子導入することによりノックダウン細胞株を樹立した。 2.アミノ酸供給および飢餓状態におけるプレセニリンの発現とオートファジーの活性化との関連性を明らかにした。オートファジーの活性化はLC3-IとLC3-IIの発現変化およびLC3-GFPの凝集により確認した。 3.スモールコンパウンドによりオートファジーを誘導し、プレセニリンの発現変化を明らかにした。 4.マウス個体の加齢における脳内プレセニリンおよびオートファジーの活性化の変化をウェスタンブロットにより解析し、加齢における変化を明らかにした。
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