研究概要 |
ヒト細胞にジフテリア毒素耐性型EF-2 cDNAを発現させることにより、毒素耐性形質を移入できるかどうかの検討を行った。まずプロモーターの強さを比較検討するために、CMV, CAGGS, EF-2遺伝子由来のプロモーターの下流にluciferase遺伝子をつなぎ、一過的にヒトHeLa細胞に発現させ、その活性を測定した。その結果、CAGGSプロモーターが一番強い活性をもつことがわかったので、次に毒素耐性型及び野生型のEF-2 cDNAをCAGGSプロモーター下流につなぎ、ヒトHeLa細胞にそれらのプラスミドを一過的に発現させ、ジフテリア毒素毒素存在下でのタンパク質合成を測定した。毒素耐性型EF-2 cDNAを発現した細胞でのタンパク質合成は、野生型、及び非添加の対照群に比ベジフテリア毒素存在下でのタンパク質合成が高いことがわかったが、その抵抗性は予想に反しわずかであった。一方、タンパク質合成の測定を、luciferaseの活性発現で調べる場合と、放射性同位元素[35S]-Met, -Cysの取り込みでみる方法の2種類について検討したが、放射性同位元素を利用する方が感度が高いこと、一方、luciferaseの活性発現を用いて測定する場合は感度は落ちるが、実験初心者には簡便で測定しやすい系であることがわかった。今後は、毒素耐性型EF-2 cDNAをレトロウィルスベクターに組込み、それらを感染させてどれ程毒素耐性形質が得られるのか、検討する予定である。
|