研究概要 |
本研究では,半導体製造技術を応用したMEMS技術によって,単一細胞の機能解析や3次元空間に人為的に配置制御した複数の細胞郡の相互作用を解析するためのツールとして"オンチップ細胞ネットワーク機能解析デバイス"の開発を行うことを目的としている。得られた成果をまとめると以下のとおりである。 1.マイクロ空間細胞配列チップの開発 均一サイズの細胞を高効率で分離し,かつ3次元空間に配置制御するためのデバイス開発の基礎的検討を行った。Si基板上に生体適合性材料である厚膜ネガ型フォトレジスト(SU-8)の支柱構造体をアレイ化したデバイスを作製し,細胞を模擬したポリマー微粒子(平均粒径:11μm)の配列実験を行った。その結果,支柱構造体間に微粒子を配置することが可能であることを示した。この際,支柱構造体材料として用いたSU-8の親水化処理が重要であり,O_2プラズマ処理によって,SU-8の親水性を長期的に維持することが可能であることを示した。また,実際の細胞を用いた基礎的検討も実施した。 2.細胞操作用マイクロマニピュレータアレイ 細胞単位での高精度な操作を超並列に処理することで,所望のセルパターニングを実現する本デバイス開発に重要となる"吸盤型マイクロニードル"の作製方法を提案し,細胞を模擬したポリマー微粒子(平均粒径11μm)の捕獲が可能であることを実証した。また,Si深堀エッチング(DRIE)において,吸盤形状を決定するノッチング現象の基本特性を調べた結果,吸盤径の増加量および増加速度は貫通孔のアスペクト比に大きく依存することがわかった。アスペクト比が大きくなるほどエッチング底部へ到達するイオンの数が相対的に減少するため,ノッチングが起こりにくくなり,吸盤径の増加速度が小さくなることが明らかとなった。
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