研究概要 |
本研究は,手首のように曲がり,かつ曲がった軸内で回転が可能なマイクロ鉗子を開発し,内視鏡先端手術や脳外科手術における活用をめざすものである。 まず屈曲と回転が可能なマイクロ鉗子の構造を検討し,一方向に屈曲するリンク構造の外パイプと屈曲状態で回転を伝えることができる十字継手構造の中心軸の構造を考案し,第一次試作として,3倍サイズの屈曲回転鉗子を製作した。その結果十分な屈曲角と回転が得られることを確認した。しかし駆動のためのワイヤの取り付けや駆動時の剛性やガタなどについて改善すべき点が明らかとなった。これらの改善と小型化が次年度の課題となった。またマイクロ鉗子でつまむ部分の圧力、摩擦力を検出するセンサの開発を進めた。基本構造を考案し,有限要素法を用いた出力特性のシミュレーションを行うとともに,3倍サイズの鉗子に合わせたセンサ付きのつまみ部を製作した。次年度は,このセンサ付きつまみ部を用いた実際のつまみ動作における性能を評価し,小型化を図る。マイクロ鉗子を駆動する駆動ユニットを設計、製作した。この駆動ユニットと回転屈曲鉗子とを結合して,駆動確認をするのが,来年度の課題である。 一方マイクロ鉗子を操作する操作レバーを設計し,製作を進めた。まず手術動作における手や指の動作を分析し,鉗子の挿入動作,先端部の屈曲、回転,つまみ動作,つまんだ後の引張り動作,つまんだものの移動動作などを考慮し,それらの動作にあった操作機構を考案した。また操作レバーにおけるつまみ機構を設計した。次年度は,屈曲回転鉗子のマイクロ化を実現するとともに,今年度から製作を始めたシステムを構築して総合的な評価を行う。
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