研究概要 |
本研究では、マクロなスケールからミクロなスケールまでをシームレスに描出可能な仮想化内視鏡システムの実現とそれを支える次世代医用画像処理ソフトウェア技術基盤の整備を目的として、以下の課題について検討した。 (1)微細粘膜構造・組織画像の生成法の検討 現在,広く臨床の場で用いられている3次元CT像,3次元MR像は,その解像度がおおよそ0.5mm程度であり,微細粘膜構造・組織を描出するには不十分である.そこで,顕微鏡CTと呼ばれる超高解像度のCT装置により撮影される画像,実際の顕微鏡によって撮影される微細粘膜構造・組織画像を統合することで,微細粘膜構造・組織画像を生成する手法を検討した. (2)スケールシームレス画像の効率的な計算機上での表現法・蓄積法の検討 本プロジェクトでは,臓器のマクロなレベルでの形状情報から微細粘膜構造・組織情報という約1000倍程度解像度が異なる情報を取り扱わなければならない.このような画像情報(ここではスケールシームレス画像と呼ぶ)は非常に膨大な量となる.そのため,それらを計算機上に効率的に表現し,蓄積する方法を検討した. (3)微細粘膜構造・組織描画法の検討 これまでに開発されてきた3次元医用画像可視化手法は,臓器の形状を対象としたものがほとんどであり,微細粘膜構造・組織を対象としたものは存在しない.特に粘膜の持つ質感をコンピュータグラフィックによって再現する研究はいまのところ行われていない.そこで,微細粘膜構造・組織の質感を保ちながら効果的に表示する手法の検討を行った. (4)スケールシームレス画像処理手法の検討 スケールシームレス画像を処理する方法を検討した.従来の多重スケール画像処理とは異なり,個々の解像度レベルでイメージング方法が異なるため,それも考慮した画像処理手法を検討した.
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