本研究は日常生活における動作およびエネルギー消費の計測法開発を目的としている。昨年度は計測対象を(1)ヒトを一まとまりの物体と考えたときの、時間に対する位置(重心位置)の変化、(2)酸素消費、心拍数の変化など、と設定し、利用できうる5種類の機器を選定した。今年度はこれらを正常人に実際に装着し試用した結果、計測機器を以下の3種類に絞り込んだ。 1)小型三次元加速度計 3軸の高精度加速度センターを内蔵した機器で、腰ベルトに固定することにより最大37日の3次元加速度変化を連続で記録し、歩行数、カロリー消費も計算することができる。2)腕時計型スポーツメモリ 加速度センサー・ジャイロセンサーを内蔵した機器で、腕時計型。運動パターンを判別し、歩数、消費カロリーも記録することができる。3)ランニングコンピューター 腕に本体、胸部に心拍計、靴にストライドセンサーを取り付けることにより、心拍数・速度・距離・ペース・ケイデンス・ストライド・高度を測定することができる。 今年度はさらに実際の障害を持った小児(義足歩行をしている先天性下肢形成不全患者、二分脊椎による両下肢不全麻痺患者、下肢長不等の患者)を対象に、三次元動作解析装置、圧センサーを用いた歩行解析装置を用いて分析を行い、上記の日常生活における動作の分析との関連性検討に備えた。また、二分脊椎患者、骨系統疾患の患者、脳卒中後の片麻痺患者を対象に、下肢運動機能評価、姿勢コントロール、移動能力の推移、日常生活動作に関する検討など、上記研究を補強するデータを得た。来年度は研究の最終年度として、健常人、障害者ともに対象者数を増やし、日常生活における動作およびエネルギー消費の計測に最適な手法を検討する予定である。
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