研究課題
19年度は、超音波振動子を装着する場所を特定するための研究を行った。方法は、分担研究者の機関で診療のために撮られたビデオレントゲン検査データを、解析ソフト、(科研費で購入)にかけるための変換作業を行った。さらに変換作業後に解析ソフトを使って解析を行った。結果は、334例の画像で、誤嚥有りが190例、誤嚥無しが123例、判定不能が21例であった。誤嚥有りの190例において、誤嚥の経路を調べた結果、仮声帯の前方を流れて行くタイプが77例、仮声帯の後方を流れて行くタイプが90例、経路の判定が不能なタイプが23例であった。前方を流れて行くタイプは検査体位が座位に近く、反対に、後方を流れて行くタイプは検査体位が臥位に近いことカが示された。引き続き、舌骨と喉頭の相対的移動距離や咽頭通過時間などの解析を行う予定である。もうひとつの計画が、超音波振動子アレイの設計・試作のための基礎実験であったが、解析作業を行っていくなかで超音波が透過しやすい気管周辺の皮膚表面は、非常に限られた.部位になることが判明した。その限定された部位とは、舌骨と甲状軟骨との間と気管切開部の二箇所であった。しかし、気管切開部まで誤嚥物が流れ込んでの感知は遅すぎるため、必然的に舌骨と甲状軟骨とのわずか1cmの間に超音波振動子素子群を配置するしか方法がないことが判明した。この問題についての不十分な検討は、後の設計や試作に多大な悪影響を及ぼす結果になるため、20年度は19年度の計画であった現有する超音波機器を用いて、舌骨と甲状軟骨との間を中心に、姿勢による感知度も含めて研究する計画である。