大腿四頭筋はOKCにおいては一体として活動するが、CKCの状況下では単関節筋である広筋群と二関節筋である大腿直筋は全く異なった活動様式を示す。すなわち、CKCにおいては広筋群が活発に活動する一方で大腿直筋の活動は著明に抑制される。大腿直筋は膝関節伸展作用を持つ一方で、関節屈曲作用も持つため、股・膝関節同時伸展というCKCの運動時には神経生理学的に抑制されると考えられている。ところが従来の表面筋電図では大腿直筋が抑制されても広筋群のクロヌトークが混入して正確な計測ができなかった。そこで、表面筋電図と併用してファインワイヤー電極による針筋電図計測を行った。対象は、健常若年男性7名である。計測は大腿四頭筋評価訓練装置を用いて体幹を垂直に保持した座位で行った。右下肢について股関節屈曲90°、膝関節屈曲60°の固定肢位で各被験者はOKCでの膝伸展とCKCでの下肢伸展(レッグプレス)を種々の筋力で等尺性随意収縮を5秒以上行い、下肢筋群について安定した筋収縮が認められた3秒間の筋電図を分析した。二関節筋である大腿直筋においてはOKCでは表面筋電図、針筋電図ともに出力に対応した筋放電が認められた、CKCにおいては表面筋電図ではOKCと比較して抑制された筋放電を示し、針筋電図では表面筋電図以上に抑制されていた。特に20%MVC以下の出力では針筋電図はサイレントであった。20%MVCの出力は体重の約50%相当であり、体重の50%が片脚にかかる膝屈曲60°での静止立位においても大腿直筋は表面筋電図では弱い収縮を認めたが針筋電図はサイレントであった。
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