現代の病院は、機能性が重視された結果、住環境としての配慮がほとんどなされていない。特に、集中治療室(ICU)、救急救命室(ER)などにおいては、重症患者は各種モニター機器を装着され、それらが発するアラーム音の渦の中で、ストレスの多い日々を過ごしている。また、医師や看護師が処置を行う際、器具の発する金属音が、患者に不快な音刺激を与えている。しかしながら、これらの騒音による音環境が、患者に与える影響については、ほとんど研究が行われていない。 本研究は、人体を模したダミーヘッドを用いたバイノーラル録音という手法によって病院の音環境を録音し、病院外の研究室に病室の音環境を再現する。この再現実験を健常被験者を対象に行うことで、病院の音環境が患者に与える影響を明らかにし、その対策について提言を行うものである。 平成19年度は、輸入業者の発注の関係で、ダミーヘッドの納品が大幅に遅れ、実験環境を整え予備実験としてバイノーラル録音ができるかどうかを確認するに留まった。 機材の準備が整ったため、本格的な実験は平成20年度に行う予定である。
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