研究課題
健康だが運動習慣のない日本人若年男性を対象として、全身運動の急性効果および慢性効果に関するナチュラルキラー細胞活性(NKA)と脳活動の関係を調べた。NKAは運動終了直後に軽度上昇し、その後低下する現象が確認され、継続的運動後では、安静時のNKAがどの被験者でも軽度上昇している傾向が観察された。次に、運動に伴う局所脳活動とNKAの関係について、急性運動時および慢性運動時に分けて述べる。急性運動時では、NKAの値と有意に正の相関を示した脳領域は、中心後回、中心前回、上側頭回、小脳半球であり、負の相関を示した領域は、前帯状回、後帯状回、頭頂葉であった。慢性運動後の安静時測定では、NKAの値と有意に正の相関を示した領域は、前頭葉(上前頭回、中前頭回、前帯状回)で観察され、さらに頭頂葉、上側頭回〜下前頭回、中側頭回など、前頭葉、側頭葉、頭頂葉にわたる広い範囲で観察された。NKAの値と負の相関を示した領域は、側頭葉、後頭葉、小脳虫部などであった。がんの予防等にも関係があるといわれるNKAと局所脳活動とが相関することが、運動直後の健常人において示されたことが今回の重要な所見と考えられる。また、健常人において前頭前野の活動とNKAの正の相関が観察されたが、これは継続的運動の実施後のみで観察された。継続的運動によるNKA値の変化には高次の脳活動も介在している可能性があると考えられた。その際の神経情報伝達経路として、側頭極および下前頭回が重要な役割を担っている可能性があると推測された。脳-免疫連関に関する画像的研究はまだ開始されたばかりであるが、局所脳活動と免疫系の相互作用に関する研究の成果は徐々に蓄積されつつある。新たなモデルに基づいて、ヒトを対象とした運動に関連した新たな健康科学的応用研究を多数生み出せるものと期待される。
すべて 2008 2007 その他
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (25件) 備考 (1件)
健康医科学 23
ページ: 89-97
Human Psychopharmacology 23
ページ: 139-150
British Journal of Clinical Pharmacology (印刷中)
Methods (印刷中)
Current Medical Imaging Reviews 4
ページ: 14-18
ページ: 8-13
ページ: 19-24
Cognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience (印刷中)
Brain Nerve 59
ページ: 221-231
J Nucl Med. 48
ページ: 553-561
Brain Research 1172
ページ: 82-92
Neuroimage 36
ページ: 706-717
NeuroImage 34
ページ: 1292-1298
http://kakuigaku.cyric.tohoku.ac.jp/index.html