白血球機能の解析法として、微量全血を用いて機器分析できる測定法を比較検討した。まず呈色反応を応用したNitroblue Tetrazolium還元法では、吸光度計を用いて定量を試みたが、赤血球の混入等により再現性に問題があり、全血での測定には限界があると判断した。フローサイトメーターによる貧食能・活性酸素産生能の測定では、機器の操作や条件設定、試薬の調整が複雑であり、S/N比に問題があったため、以上の測定系は本研究のストレス解析に応用することを断念した。一方、ルミノール依存性化学発光法では、S/N比が良好で定量的な検出ができ、また血漿中に放出されるミエロペルオキシダーゼ等の脱顆粒物質の測定も良好な再現性が得られた。そこで、これらを用いて種々の運動負荷をモデルとしてストレス応答・筋損傷評価の検討を進めた。まず運動処方レベルの負荷(最大酸素摂取量の50%強度で60分間の自転車こぎ)では、白血球機能に変化は認められず、カテコールアミン、成長ホルモン等のストレスホルモンは上昇したが、筋損傷マーカーのミオグロビンや各種サイトカインに上昇は認められなかった。よりストレスの強い運動負荷として、次に筋損傷を惹起する伸張性運動のカーフレーズ負荷で検討したところ、ストレスホルモン・筋損傷マーカーは顕著に上昇したが、好中球機能に変動はみられなかった。現在、長時間の持久性運動の影響について検討を進めており、白血球機能がストレス応答・筋損傷に関与するか否かについて解析を進めている。
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