研究概要 |
SD系雄性ラットに、1)亜鉛欠乏食で4週間飼育した時、2)香辛料の辛味成分(capsaicin: CAP, dihydrocapsaicin: DHC, allyl-isothiocyanate: AIT)の投与及び3)合成副腎皮質ホルモン(dexamethasone: DEX)の投与によって総白血球・リンパ球・単球・好中球・好酸球・好塩基球の各細胞数が如何に変動するかを検討した。総リンパ球はTリンパ球・Bリンパ球・NK細胞に分画・定量した。その結果、亜鉛欠乏によって総リンパ球数を除いて全ての細胞数が欠乏日数にほぼ比例して増加した。それに対し、CAP(3mg/kgBW)を投与すると、総リンパ球・Tリンパ球・Bリンパ球の各細胞数が有意仁低下し、総白血球・好中球の各細胞数が増加したが、好酸球・好塩基球・単級の細胞数は変動しなかった。この現象はDHC(3mg/kgBW)でも認められたが、その影響の強さはDHGがCAPより高かった。これらの現象はAIT(20mg/kgBW)の急性投与でも同様の結果が得られた。DEX(1mg/kgBW)を1回投与すると、投与8時間までは総白血球・総リンパ球・Tリンパ球・Bリンパ球・単球・好酸球・好塩基球の各細胞数が有意に低下したが、投与24時間後には対照群の各値に戻り、可逆性が明らかに認められた。一方、DEX(1mg/kgBW)の急性投与では好中球数だけが変動しなかった。しかし、DEX(1mg/kgBW/day)をラットに10日間投与すると、総白血球・総リンパ球・Tリンパ球・Bリンパ球・単球・好酸球・好塩基球の各細胞数が有意に低下し、好中球数だけが有意に高かった。以上より、獲得免疫機能を担っているリンパ球系の細胞数は香辛料の辛味成分や副腎皮質ホルモンの投与によって明らかに低下するが、身体不活動・β2作動薬投与・亜鉛欠乏・アルコール摂取では変動しない。
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